意地っ張りな査定人がズタボロになりながら疾走「カリフォルニアの炎」

「犬の力」のドン・ウィンズロウの1999年の作品。
証拠捏造・自白強要で火災調査官の職を追われた過去を持つ火災保険査定員が、家を焼き、妻を殺したとされる実業家をとことん追い詰めていくお話。

無茶苦茶面白い。放火・詐欺の手口、保険やその支払いのシステム、訴訟等の細かなネタを自然に盛り込み、ただの詐欺と思われていた事件が超巨大犯罪組織と一介の査定人の切った張ったの勝負と進展していくスピーディな展開は最高だった。

「犬の力」同様、徹底的な取材を元にしていると思われ、「バック・ドラフト」のドナルド・リムゲイルの仕事を事細かく解説したような火災調査豆知識が非常に興味深く書かれている。

複線の張り具合とその回収に二転三転する展開はすばらしい。俺好みの切株描写・グロ表現もあって、なかなか美味しい小説であった。

それにしても、どんな嫌がらせや罠にも屈しない意地っ張りな主人公は「犬の力」と同じだなぁ。ドン・ウィンズロウも意地っ張りなんだろうか。

カリフォルニアの炎 (角川文庫)

カリフォルニアの炎 (角川文庫)