身も心も引き裂かれるババァ「デンデラ」


公式サイトから受け取れるような、捨てられた婆さん達の群像劇などではない。

冒頭、石橋凌が眉間にいつものエロい皺を寄せながら、白装束の浅岡ルリ子に向かって

「めでてぇのぅ・・・」

と言った時点で、(良い意味で)嫌な予感しかしなかったが、予感的中。

"再び生きる気力を取り戻したカユ(浅岡ルリ子)が向かう先に待っていたものとは?"って、待っていたのは熊である。原作の表紙も熊丸出しなので隠す必要はないのだが、公式ではひた隠しにしており、少し悪意を感じる。*1

あのね、ババァ共が自分たちを捨てた男衆や坊主への復讐心だけで雪山でも凍えることもなく、「やぁぁぁぁ!!!」っという、憎しみの叫びと共に手製の斧や槍をワラ人形に突き入れる映画なんて、無いですよ。たぶん。往年の昭和東映映画にはあったかも知れない。無茶やってたから。

ババァが断末魔の叫びと共に、クマに引き裂かれ、生首やら引きちぎられた手や足、胴体切株を曝す映画なんて無いですよ。たぶん。でも、往年の昭和東映映画にはあったかも知れない。無茶やってたから。

尺が少し長いけど、70年代に無茶やってた頃の東映映画を感じさせるワイルドな演出がとても気に入りました。ただ、完全に外の世界とは異質の文化をもつコミュニティに新人がやってきて、その異質な文化に一石を投じると同時に怪物が現れ、混乱の内にコミュニティが崩壊していく。


これ、どっかで観たなぁ・・・って思ったら「エイリアン3」だった。


さらに後半、ババァ共が文字通り次々と八つ裂きにされ無駄死にした果てに、罠を背にした倍賞美津子と熊が対峙するシーンは、「エイリアン3」の終盤、エイリアンを罠に嵌めようと足掻き、囚人達が次々に血祭りに上げられた末に、チャールズ・ダットンとドッグ*2エイリアンが対峙するシーンそのままである。(その後、全然違うけどね)

しっかし、草笛光子の滑舌の良さは素晴らしい。。。ところが、同い年の黒柳徹子は最近、呂律が怪しい・・・。本作を観て全然関係無いのに、何故かトットちゃんの心配をしてしまったよ。

*1:ババァ一名、熊の襲撃シーンの直後退場し、帰ってこなかったのを俺は見逃さなかった。

*2:本当は牛だけど