畑違いに手を出すな「ヒミズ」
僕は原作の「ヒミズ」にさほど思い入れは無いが、こういう映画に変えてしまっては「ヒミズ」を実写にする意味って無いと思うんですよ。やっぱり「ヒミズ」には、震災も希望もいらないです。
園子温の映画は発想がね、パンツ盗撮だの、生きるの痛いだの、ビッチ連呼にゴミ捨てマラソンだのと常に安い。激安。今回は震災でショックを受けたとか希望に負けたとかで、無理矢理震災ネタをボコボコ突っ込んで、安さ炸裂。
夜野は設定を変えられ、被災した元会社社長でオッサンホームレス(渡辺哲)。その夜野が盗みに入る部屋の住人は壁にハーゲンクロイツを飾り「原発最高!ファックオフ!」と叫ぶ*1。被災地に行ってロケするのはいいが、撤去作業中であったろうブルが写り込んでいるような流し画が20分おきくらいにカットイン。BGMは、SOSのモールス信号にガイガーカウンターのノイズ。あぁ鬱陶しい。あぁ安い。あんな安直なモンみせられたら、バカにしてるようにしか思えんよ。
ただ、芝居はみんな上手。特に真ん中の2人の若く勢いがあるお芝居。それだけが救いの映画。*2
そもそも「何それ?」で終っている漫画*3を、常に「何それ?」っと思わせて終わる映画を撮り続けてきた監督が、今更、温いお湯入れて3分で食い始めたどん兵衛ような映画にしたのか。いつもの変なクラシックの使い方、スケーターズワルツに、オッパイがでかいだけで何も考えてなさそうな神楽坂恵。本当にいつも同じパターン。それなのに今回はなぜ綺麗に纏めようとしたのか。元々そんなことできない人なんだから、やめときゃいいんですよ。
ヤッツケで撮るなら撮らなきゃいい。今、自分に希望が必要だと思うなら、絶望がテーマになってる原作の映画なか撮らなきゃいいんですよ。
ヒミズに必要なのは社会からの断絶と絶望だけ。なーにが「がんばれ住田!!!がんばれ住田!!!がんばれ住田!!!」だよ。住田は、ひっそりと脳味噌まき散らして誰にも迷惑かけることなく死ぬべきなんだよ。