トータル・リコール | 頑張れ2番目の人達


もっとヤッツケてるかと思ったんですよ。コリン・ファレルって何か安い感じしないですか?なんかこう、日本の女優でいうと黒谷友香とか星野真里みたいな、2番目の人というかなんというか。(あ、わかりにくいですか。そうですかそうですか)それに監督のレン・ワイズマンは、これまでの作品・・アンダーワールドもダイハード4・・を観るとゲップが出るくらい間延びしたアクションシーン突っ込みがちで、しかも嫁さんのケイト・ベッキンセールまで持ってきて「あぁ、こりゃぁ、踏み台映画かな?」って思ってたんです。
実際観てみると、確かにアクションシーンはいつも通り間延びしていて、僕は嫌いじゃ無いんですけど、嫁さんは「ドタバタしてばっかりで眠かったわ」というくらい、レイ・ワイズマン印映画なのは間違いなかった。

たしかにバーホーベンの「トータル・リコール」はパンチのある映画だった。というかムチャクチャな映画だったと思うんです。僕はあの映画はカナダのキチガイマイケル・アイアンサイドと、とりあえず悪役やらしときゃ誰も文句言わないであろうオムニ社社長でお馴染みロニー・コックスがそのムチャっぷりに拍車をかけてるとおもってますが、とにかくまともな映画ではなかった。ジャンル的にはSFじゃなくてバーホーベンと言うべきものだった。

そんな映画と真っ向勝負してなんになるというのか。レイ・ワイズマンも貧乏クジを引いたもんだ。
たぶん、オリジナル作以上のインパクトを観客に与えることは無理だ。そこでレイ・ワイズマンと脚本のカート・ウィマーは、「じゃぁ、原作のディックっぽいSFを自分なりのスタイルで撮ってやろう」と思って制作に挑んだんじゃないか?

だから、いつも通りのレイ・ワイズマン印の映画ではあるのだが、踏み台にされた感はあまりなくて、バーホーベン版を観ている人へのサービスもソコソコに、なんとか「ただの焼き直し」にならないよう努力している。舞台を火星から地球に移したことで、惑星規模の問題から、単なる金持ちvs貧乏のいざこざにスケールダウンしているが、言語がごちゃ混ぜになった情景、地球ブチ抜きエレベータ「The Fall」や悪趣味にならない程度の未来ガジェットをそこかしこに詰め込み、一定の基準に従ったSFを撮ってやろうという気持ちは十分に伝わる

腕がもげたり、顔が割れたり、デカイ鼻くそを取り出したり、奇形種テンコ盛りでバーホーベンは好き勝手にオリジナルを撮った。

だからレイ・ワイズマンも好き勝手撮ってみた。常にグルグルと視点が回り続けるけど、物体の配置は混乱しないという不思議なカメラワーク、そして綺麗なネーチャンをしつこく2時間拝める。これの何所が悪いのか?。おもしろいじゃないか。