アウトレイジ・ビヨンド | 無双もほどほどに


前作「アウトレイジ」は、"どうやって面白く殺すか?"を念頭に置いて作っただけあって、いろいろと悪趣味な殺人・拷問シーンが連発し俺好みだったんだけど、今回は、そういうコンセプトは捨ててしまったようで、フツーのヤクザ映画だなあという印象。

今回は基本的には前作でボッコボコにされたビートたけし演じる大友の復讐劇。勢いを抑制しつつ、復讐に至るまでの過程をジワジワと描いているため「ぶち殺すぞばかやろー」「しらねーよばかやろー」という勢いのある罵倒言葉や流血表現は極端に減少している。
細々としたシーケンスの積み重ねで、クライマックスまで持って行くのは、映画としては普通だし、観ていて安定感があるんだけど、北野武の映画ってこれでいいのか?って気がするんですよねぇ。
ヤクザの皆々様が、片っ端からガンガン死んでいくんだけどバババババーーン!っと撃ち殺されるだけで、なんかこう「あぁやだなぁ」って感じがしない。物足りない。

「死の香りが全くしない」のが原因なんだろうなぁ。
武の映画って、武は絶対死にたがってるじゃないですか。観ている方も「あぁ、もう死んじゃうんだろうなぁ」という不安を常に持たされているくらい。
でも「アウトレイジ・ビヨンド」では全く死ぬ気が無い。それに巨大な後ろ盾も登場し、何やっても殺されないだろうなぁ・・っという余裕すら感じるですよねぇ。

非常に良くまとまっていて面白いんだけど、いつもの不安な感じがもっとほしいかったなぁって思いました。あぁ、それから今回、加瀬亮はオーバーアクト。怒鳴りすぎ。