チップチューン無限地獄「シュガー・ラッシュ」


残酷な現実をファンシーな映像でラップして面白おかしく見せる、いつものディズニー(以下デゼニ)の映画。
今回は架空の80年代アップライト筐体ゲームをネタにチップチューンされた残酷描写が連発するレゲー好きなホラー愛好家にはたまらない作品となっている。

話の大枠は、CMや予告などで知られているため割愛するが、予告からはイメージできないほど強烈なリンチ描写や物体破壊描写が多数ある。デゼニの脳天気なキャラクタ表情から、いつものように完全にその残酷加減は抹殺されているのだが。

どんなアニメにも「実際やったらかなりアレ」という描写は多数見受けられるが、デゼニ映画におけるソレの脳天気さと言ったら、もう職人の域であり、毎回楽しみにしているところ。今回はPSG音やドット絵をはじめ、そこかしこに表現される8ビットチップチューン描写がとにかく効果的で、どれだけ残酷であろうと、ファンシーな感触となる。なんとも愉しい恐ろしい事だ。
ファンシーさだけではなく、オッサンにとっては80年代テイストはもとよりゲスト的に登場する旧世代のゲームキャラなど懐かしく愉しい。さらに小ネタが多数仕込まれており、突如登場するコナミコマンドメントスコーラには度肝抜かれるし、ジェットエンジンの音はSID音源のそれである。テゼニは何やらしてもクオリティがぶれない。これは本当に素晴らしい。
(ただ雰囲気を出そうとしてチップチューンどころか「ヤシガニ屠る」状態のコマ飛ばししたようなモブキャラの動作はやり過ぎ感がある。)

↑「人間と融合したハイブリットゴキブリ」という文句でお馴染みの「ザ・ネスト」

さらに後半の「捕食したキャラデータを自分と混ぜ合わせるハイブリットキャラ」による大パニックは、完全にチップチューンされた「ザ・ネスト」である。是非鑑賞前に予習して行って欲しい。
ところで、「Fix-It Felix」みたいなゲームが80年代から生き残っていられるなら「Q-Bert」なんて余裕で生き残っていると思うんだけど、なんでQ-Bertが無職になってたんだろう。不憫だわあ・・・・。「Q-Bert」超面白いのに。